紹介が止まった瞬間、数字は正直だった
葬儀紹介会社との業務提携を解消した直後、
葬儀件数は大きく落ち込みました。
さらに追い打ちをかけるように、
大手資本の会社が
家族葬施設をドミナントで出店。
目に見えて、
件数への影響が出始めました。
「このままで大丈夫だろうか」
経営者の頭をよぎったのは、
そんな率直な不安でした。
件数は減ったが、現場では違う変化が起きていた
一方で、
社員から上がってきた声は、
意外なものでした。
「紹介会社の葬儀を受けていた頃は、
施行を回すことで精一杯でした」「今は、お客様と
しっかり話す時間が取れています」
ほかにも、
こんな変化がありました。
- クレームが明らかに減った
- 紹介手数料の支払いがなくなり、利益率が改善
- 件数は減ったが、葬儀単価は上昇
振り返ってみると、
減少したのは
「価格優先で選ばれていた顧客層」でした。
「売上を追う経営」からの卒業
この経験をきっかけに、
経営の軸を見直すことになります。
「件数を戻すことが、本当に正解なのか」
そう問い直した結果、
出した結論は明確でした。
売上の最大化ではなく、
利益の最大化を目指す。
そしてもう一つ、
大きな方向転換を行いました。
「1回の葬儀」から「生涯の関係」へ
これまでの経営は、
どうしても
「1回の葬儀」で完結していました。
しかし、
お客様の悩みは
葬儀が終わってからも続きます。
そこで、
LTV(顧客生涯価値)最大化を
経営の中心に据えることにしました。
すでにあった取り組みを、一本の流れに
これまで断片的に取り組んできた、
- 生前整理・遺品整理
- お墓じまい
- 樹木葬・合葬墓の販売
これらに加え、
- 相続手続き
- これから増える
「おひとり様」向けの身元保証業務
を組み合わせ、
「顧客の悩みを解決し続ける仕組み」へと再設計しました。
社員の役割も、変わっていった
このシフトチェンジは、
社員の働き方にも影響を与えました。
- 一人が複数の仕事を担う
- 葬儀だけでなく、
その後の人生にも関わる
最初は戸惑いもありましたが、
次第に変化が表れ始めます。
「ただ葬儀を行うだけの時より、
成長している実感があります」
利益は「追った結果」ではなく「ついてきた結果」
LTVを意識した取り組みは、
結果として、
- 顧客満足度の向上
- 利益率の改善
- 社員の成長
につながっていきました。
利益を目的にしたのではなく、
価値を積み重ねた結果、
利益がついてきた。
そんな感覚です。
新しい課題は、「次の悩み」を見つけること
いま、この葬儀社が
次の課題として捉えているのは、
「新たなLTVにつながる
お客様の悩み・課題を、
どう見つけていくか」
件数が減ったことは、
確かに痛みでした。
しかしその痛みが、
経営を
より本質的な方向へ導くきっかけになりました。
件数が減ったからこそ、
見えた価値がありました。
葬儀は、
関係の始まりです。
上信越エリア
上規模2.0億円〜3.0億円 家族葬施設3カ所 安置施設1カ所
紹介会社契約解除後の単価は21万円アップ、1件当たりの利益は11%改善





