施設完成をきっかけに、地域との接点をつくりたいと考えた
少し大きめの家族葬施設を建設したことをきっかけに、
経営者の中に、ある想いが生まれました。
「せっかく自社に生花部がある。
これを生かして、
地域の方と自然につながれる取り組みができないだろうか」
そうして始めたのが、
月に一度、地元の方に向けて
格安で花を販売する 「花市」 でした。
あわせて、
花の割引が受けられる 「花市会員」 制度もスタートしました。
数年続ける中で、違和感が生まれ始めた
イベント自体は、
決して失敗ではありませんでした。
しかし、
数年が経つころ、
別の悩みが出てきました。
「これだけ人が集まっているのに、
葬儀の依頼は思ったほど増えていない」「準備や運営で、
社員の負担も正直大きい」
このまま続けるべきか、
それともやめるべきか。
経営者の中で、
迷いが大きくなっていきました。
現場の声を聞くと、違う景色が見えてきた
そこで改めて、
社員の声や現場の状況を
丁寧に整理することにしました。
すると、
数字では見えなかった事実が浮かび上がってきました。
- 「花市」は毎回300名を超える参加者で大盛況
- 地域の方と定期的に顔を合わせる関係ができている
- 回を重ねるごとに、
お客様との距離が少しずつ縮まっている
「葬儀は増えていないけれど、
関係は、確実にできている」
ここが、
考え方を切り替える分岐点でした。
「売るイベント」から「関係が育つ場」へ
そこで出した結論は、
やめることではなく、進化させることでした。
まず、「花市」を
花の販売だけに限定せず、
- 地域の方に出店してもらう
- マルシェ形式のイベントにする
という形に変更しました。
あわせて、
- 「花市会員」を
花の割引だけでなく
葬儀時の割引も受けられる内容へと見直しました。
「イベント」ではなく、
長く続く“つながりの場”にする
そのための設計でした。
継続することで、少しずつ変化が現れた
マルシェを毎月継続する中で、
少しずつ変化が表れ始めました。
- 葬儀の依頼が徐々に増加
- 家族葬にも無理なく対応できる体制が整った
- 出展者が準備・販売・片付けを行うため
社員の負担は大きく軽減
さらに、
近隣に大手競合2社が家族葬施設を出店する
という出来事もありました。
それでも、
自社のシェア率は大きく変わらず、安定していました。
「選ばれる理由」は、すでにできていた
マルシェに参加している会員の方は、
社員の顔や名前まで覚えてくれています。
「あの人にお願いしたい」
そう言ってもらえる関係が、
日常の中で自然に育っていました。
このマルシェは、
単なるイベントではなく、
地域との信頼を育てるコミュニケーションツール
になっています。
やめるか迷ったからこそ、強い仕組みになった
もし、
「葬儀が増えないから」という理由だけで
花市をやめていたら、
この関係性は生まれていませんでした。
数字だけで判断せず、
現場の声と手応えを信じて、
一緒に形を変えていった。
その積み重ねが、
いまの安定した経営につながっています。
この施設は、
流行を追ってつくったものではありません。
現場の声と将来の変化を見据えながら、
一緒に考え、
一緒に決断してきた結果です。
上信越エリア
売上規模7.0億円〜9.0億円
営業エリア3市 家族葬施設5
社員数30名(パート含む)





